ガスコンロの交換時に必要な確認は大きくわけると2つ、「現在の状況の確認」と「希望する機能・デザインの確認」です。①~②が前者、③~⑨が後者です。
①設置タイプの確認
ご家庭に設置されているコンロには大きく分けて3つの設置タイプがあります。
- テーブルコンロ
- ナイスアップコンロ
- ビルトインコンロ
それぞれの特長は次の通りになります。
テーブルコンロ | ナイスアップ | ビルトインコンロ |
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コンロ台の上に据置型のコンロが置いているタイプ 交換する場合は同じテーブルコンロを選択する形になります。 | コンロ台とコンロが一体になっているタイプ。 一見するとビルトインコンロに見えますが、コンロ台が独立しているため、キッチンに継ぎ目が見えます。 交換する際は同じナイスアップコンロを選ぶか、コンロ台ごと変えてビルトインコンロに変えるかになります。 | キッチン天板の中にコンロが埋め込まれている設置です。天板に継ぎ目はなく、フラットです。当店で取扱っているビルトインコンロであれば、基本的にメーカー関係なく交換可能です。 |
交換工事についてですが、テーブルコンロであれば工事の必要はなく、ご自分で交換することが可能です。
ナイスアップコンロ、ビルトインコンロは工事の必要があり、資格が必要なガス工事があるのでご自分で交換することができません。当店のような工事店に工事をご依頼ください。
→コンロの工事費用の確認はこちら
②設置状況の確認
- ガス種
- 既存のコンロの情報(天板の幅、型番、フィラーの有無)
- オーブンの有無
このような情報を前もって準備しておけば、非常にスムーズに交換工事を進めることができます。
ガス種について
ガス種は都市ガス・LPG(プロパン)の2種類です。
お使いのコンロの銘板シール、もしくはガス代の領収書や検針票でも確認できます。
ガス種が違えばそのコンロは使用できません。必ず確認するようにしましょう。
都市ガス | LPG(プロパン) |
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12A・13Aとも呼称され、供給所からガス導管を通じてガスが供給されます。 そのためボンベはなく、ガスメータによって月々ガス代を払う方式になります。 |
自宅にボンベを置き、そのボンベからガスを供給しています。そのため定期的にボンベ を取替える必要があります。団地などで集中プロパンの場合、各戸にボンベがない場合もあります。 |
既存コンロの情報
本体の大きさは基本的にはそのメーカーも共通のものを使っております。
しかし天板の大きさは60cmと75cmの2種類がついています。(まれに45cmタイプもございます)
天板というのは下の図の部分になります。
天板の幅について変更がなければ特に問題がありませんが、変更する場合の注意する点は以下の通りです。
天板サイズを変更する場合の注意点 | |
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天板が大きくなる分、調理用のスペースが15cm狭くなります。 さらに消防法の観点からレンジフードの幅以上のガスコンロは設置できません。たとえばレンジフードの幅が60cmの場合は、ビルトインコンロの75cmは設置できません。 またそもそものサイズが大きい分、機器の価格が3000円程度ほど60cmタイプより高くなります。 | |
これまで設置していた天板の跡が露出します。既存の物よりもサイズが小さくなるため、 既存の天板があった場所に黒い跡のようなものが残ります。 |
フィラーというのは隙間埋め用の部材です。
余分な隙間を埋めるための部材で、少しサイズが合わない際に使用している場合があります。 例えば高さを出すためにビルトインコンロの下にフィラーにいれて、高さの調整をします。
ビルトインコンロの下のスペースにオーブンまたはコンビネーションレンジ(電子レンジ+オーブン)を併設している場合があります。ガスオーブンはパワフルな炎で一気に温度上昇させることができるので、外はこんがり、中はしっとり仕上がるのが特長です。
もともとついているのであれば、ビルトインコンロ交換の際にも一緒に交換を検討する必要があります。オーブンは交換しない、もしくは最近使わないから収納庫へという選択もあります。
ここからいよいよ、新しく設置するビルトインコンロ選びです。
各社さまざまな機能がありますが、機種選びのポイントとなる箇所がいくつかあるので解説いたします。
③天板の素材
ビルトインコンロ、ひいてはキッチンの印象は天板によって決まると言っても過言ではありません。天板の種類はカラー×素材で決まり、素材により質感や見た目、価格はもちろん、耐久性やお手入れのしやすさにも差があります。
ホーロー | ホーロー+特殊コート | ガラス | ステンレス | アルミ |
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・メタルトップシリーズ ・コンパクトシリーズ ・メタルトップシリーズ ・コンパクトタイプ ・スタンダードタイプシリーズ ・コンパクトキッチン ・ミニキッチンシリーズ |
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ホーロー
ホーロー(琺瑯)とは、鉄板を釉薬でコーティングしたもので、コンロ天板のほか鍋などにも使用されている昔ながらの技法です。しっとりとした落ち着いたツヤがあります。
鉄板を使用しているので丈夫で耐久性に優れていますが、清掃性においてはガラスに劣ります。また年数を経ると表面塗装がはがれ、そこから錆が発生する可能性があります。
カラーバリエーションはほとんどなく、各メーカー、ベーシックカラーが1~2色です。
ホーロー天板のビルトインコンロはリーズナブルな価格帯のものが多く、お値段重視の方にオススメです。
ホーロー+特殊コート
ホーローまたはホーロー用の鉄板の上に特殊コーティングを重ねたもので、カラーバリエーションも豊富です。リンナイから「パールクリスタル」、パロマから「ハイパーガラスコート」が出ています。ノーリツにはありません。
ホーローよりも機能性・デザイン性がよく、ガラスよりも安価です。
硬質ホーローを、クリア+マイカ(雲母)でコーティング。ホーローより汚れが落ちやすく、色鮮やかで長持ち。鮮やかな色調と、強さを持つトッププレートです。
ホーロー用鋼板の上に2層のコーティングを施し、鏡のような艶やかな光沢です。表面がガラス質だから、汚れがサッと拭き取れます。衝撃にも強いので、キズがつきにくく、安心して長く使えます。
ガラス
現在もっとも人気があり、主流です。天板自体が強化ガラスでできています。そのため見た目が美しく、耐久性、耐熱性に優れており、ガラスなので汚れが焦げつきにくく清掃性も優れています。こまめに清掃することで、長期間使用してもきれいな状態を保てます。さらにノーリツ製のガラストップには「親水アクアコート」という汚れが落ちやすくなるコーティングが施されている機種もあります。
ただし強化ガラスとはいえ、重いものを落としたときにヒビが入ったり、割れる可能性があります。機種・カラーバリエーションも豊富です。
上位機種には海外製のブランドガラスが採用されていたり、よりスタイリッシュに見えるフレームレスガラスが使われているものもあります。
ステンレス
錆に強く、耐久性があります。コーティングはされていないので、塗装がはげるということもありません。熱により変色する可能性があり、強くこすると傷になりやすいです。
現在ノーリツで1機種のみ採用されており、家庭用コンロとしては珍しい天板です。プロ仕様のようなシンプルで硬派な印象と使い込むほど味がでることが魅力です。
アルミ
熱伝導率が良く、熱が素早く分散するため汚れそのものが焼付きにくくお手入れが楽です。衝撃にも強いです。マットピカピカツヤツヤな質感が苦手な方にオススメです。
④ゴトク素材の種類
ゴトクの素材の種類にはステンレスとホーローの2種類があり、 現在のコンロはホーローゴトクが標準となっています。
ステンレスゴトク | ホーローゴトク |
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比較的価格の高い機種に搭載されていることが多く、スタイリッシュで高級感のある見た目が特徴です。 |
色が濃いため、汚れや傷が目立ちにくくお手入れにそれほど気を使わなくていい点がメリットとして挙げられます。しかし、長年使っていると塗装がはがれ、塗装の剥がれた部分がサビてしまうといった恐れもあるので、その点は注意が必要です。 とはいえ、ステンレスゴトクほど気を使わなくても良いので、お手入れのしやすさを重視するなら、「ホーローゴトク」がおすすめです。 |
⑤高火力バーナーの位置
コンロの機種によって左右で搭載しているバーナーの火力が違うことがあります。 左右どちらか一方のみ高火力のタイプと、左右両方とも高火力が使える両高火力の2種類があります。 現在では一部の機種を除けば、多くの機種が両高火力対応です。
左右どちらか一方のみ高火力のタイプをお選びいただく際は、コンロの左右どちら側に壁があるかで左右を選びましょう。防火対策のため、コンロの右側に壁がある場合は「左のバーナーが高火力の機種」を選び、コンロの左側に壁がある場合は「右のバーナーが高火力の機種」を選ぶのが一般的です。
⑥コンロの口数
3口 | 2口 |
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現在販売されているビルトインコンロのほとんどは3口タイプです。 |
現在販売されているビルトインコンロの標準は3口タイプとなっていますので、2口タイプは限られたシリーズでの展開となっています。
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⑦オート調理機能
機種によって様々な「オート調理機能」が搭載されています。ここでいう「オート調理機能」とは食材やメニューに合わせて自動で火加減を調節し、消火までしてくれる機能のことです。各メーカー共通の機能としては、「炊飯機能」や「麺ゆで機能」、「湯沸かし機能」が人気です。焼き魚の調理に便利な「オートグリル機能」はほとんど全機種についています。
炊飯機能 | |
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別売の専用炊飯鍋が必要になりますが、ボタンひとつでふっくらとしたごはんを炊いてくれる機能です。「おかゆ」などのレパートリーもあり、なによりガス火で炊いたご飯はふっくらつやつやでおいしいです。ノーリツ・パロマの一部機種には「炊き込みご飯」や「もっちり」というメニューもあります。しかも、一般的な電気炊飯器では1時間弱かかるのに対して、ガスコンロ炊飯では30分程度で炊くことができ、時短にもなるのでおすすめです。 | |
麺ゆで機能 | |
水量や麺の量を判別し、タイマーで設定した時間の間、火力を自動で調節して、吹きこぼれないように茹で上げてくれる機能です。 | |
湯沸し機能 | |
お湯が沸くと自動で消火してくれる安心で便利な機能です。機種によっては沸かしたお湯の「保温」の機能がついているものもあります。 | |
オートグリル・オートメニュー(グリル) | |
メニューと火加減を選ぶと自動で、過熱時間を判定して、調理し消火します。パロマを除くメーカーでは「オートグリル」よりも「オートメニュー」の方がより多くの種類のメニューから選ぶことができます。 | |
オートメニュー(コンロ) | |
現行のビルトインコンロではリンナイの「デリシア」とノーリツの「スマートコンロ」にのみ搭載されている大変便利な機能です。専用のアプリと連携することでご自宅で簡単にプロの味を楽しめます。レシピに沿った温度や調理モードをコンロに送信し、自動で調理します。 |
⑧安全機能
現在販売されている最新コンロには全て、Siセンサーという様々な安全機能を実現するためのセンサーが全口に搭載されています。 Siセンサーとは鍋底の温度を感知する「温度センサー」と、立消えを防止する「炎検知センサー」からなっており、2008年に国が定めた安全基準により、家庭用コンロ(持ち運びの出来る卓上1口コンロを除く)の全てのバーナーにこの「Siセンサー」を搭載することが義務付けられました。
国と業界が定めた基準
「国の定めた基準」と「業界が定めた基準」として下記の安全基準があり、全てのコンロに下記の安全機能が搭載されています。
センサーが鍋底の温度を感知し約250℃になると自動的に消火して油の発火を防ぎます。(国の安全基準)
煮こぼれや吹きこぼれ、風などで火が消えた時、自動的にガスを止めます。(国の安全基準)
消し忘れても、一定時間が経過した時点で自動消火します。(業界の安全基準)
鍋底が約250℃(炒め物などに必要な温度)になっても消火せず、自動で火力を調節し、早切れを防ぎます。(業界の安全基準)
リンナイ・ノーリツ・パロマで標準的に搭載されている安全基準
当店で取扱いで標準的に搭載されている安全機準が下記になります。
鍋底の焦げはじめを感知し、自動的に消火します。
誤操作やいたずらによる点火を防止します。 小さなお子様のいるご家庭も安心いただけます。
仕組み・名称は各メーカーによって違いますが、グリルの排気口から炎があふれでることを防ぐ装置です。食材への引火から発生する火災を防止します。
鍋なし検知機能・感震停止機能
鍋を置いていないと点火しません。鍋を持ち上げると弱火になるので、調理時の鍋の移動も安心です。また一定時間、鍋が乗っていないと自動消火。火の消し忘れを防止します。
震度4相当の揺れを感知すると、自動的にガスを遮断します。
鍋なし検知機能・感震停止機能を両方搭載 | |
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・スマートコンロ ・プログレ ・プログレプラス ・ピアット※ ・ミフィット |
・デリシア ・ユーディアエフ ・セイフル ・リッセ ・マイトーン |
※…別売の感震器が必要です
⑨グリルの機能
現在販売されている最新のビルトインコンロのグリルは、ほぼ全てが「無水両面焼」となっています。受け皿に水を張るといった手間や、使用後の水をシンクまで運ぶといった作業がなくなり、その後のお手入れも楽になりました。
グリルに関しては各メーカーとも努力しており、日々進化しています。いまや魚焼き専用ではありません。お料理好きな方はグリルも要チェックです!
オートグリル・オートメニュー
多くの機種に「オートグリル」機能が付いています。主に魚を焼く 時に使う機能で、姿焼・切身・干物といった種類と焼き加減を選ぶだけで、途中で焼け具合をチェックする手間もなく、自動で焼き上げてくれます。
オートグリル機能を搭載 | ||
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・スマートコンロ |
・デリシア |
・クレア |
※一部機種は未対応
ワイドグリルと通常グリル
グリルの大きさは通常グリルとワイドグリルの2種類があり、ワイドグリルはミドルグレード以上の機種で搭載されていることが多いです。大きな食材も入り、一度にたくさん焼くことができるため、調理時間の短縮に繋がります。
ワイドグリル搭載 | ||
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・スマートコンロ |
・デリシア |
・クレア |
ひとくちに「ワイドグリル」といっても、メーカーによってサイズに差があるので具体的に調理したいサイズが決まっている場合は注意が必要です。
- パノラマワイドグリル(リンナイ):高さ60×幅265×奥行322mm
- ワイドグリル(ノーリツ):高さ72×幅226×奥行271mm
- ワイドグリル(パロマ):高さ62×252×311mm
便利なオプション調理器具
グリルを活用した多彩な料理を作れる便利な調理器が付属していることがあります。
またコンロ本体に付属していなくても別途追加購入することもできます。また機種によって使えない調理器もあるので、事前に確認しましょう。お見積り時の確認も承ります。
上記のような調理器があれば、グラタンやポトフ、煮込み料理などが、食材を入れるだけで簡単に調理することができるのはもちろん、パンやピザを焼くこともでき、さらに各メーカー調理器を使ったレシピ本などもあるため、おもてなし向きの凝った料理まで簡単に調理することが可能になります。
グリルの清掃性・使いやすさ
清掃がめんどうだからとグリルの使用を躊躇したことはありませんか?最新のグリルは大幅に清掃性・使いやすさがアップしました。ポイントは以下の通りです。
- 丸洗いできる部分が増えた
- 毎回楽に使える
- 汚れない工夫がされている
以前のグリルは分解できる部分が少なく、その部分以外は腰をかがめたり無理な体制で掃除する必要があり、中を拭くだけでも重労働でした。水で流せば一瞬で済む作業も、雑巾でやろうとする大変です。
最新のコンロは分解できる部分が大幅に増え、まとめてザブザブ洗えるようになりました。本体から取り外せるので、パーツによっては煮沸消毒もできます。また庫内に直接汚れが付かないよう、外れる汚れカバーがついている機種もあります。
以前のグリルは受け皿に水を張る片面焼タイプ(有水片面焼)が主流で、油でギトギトになった水をこぼしそうになったり、途中でひっくり返したり、めんどうでした。現在販売されているコンロのほとんどは無水両面焼です。水を入れる必要も、途中でひっくり返す必要もなく「楽」です。
両面焼きのデメリットとして、焼き網が食材が付きやすいことがありますが、多くの機種は「フッ素コート」がされいるので洗い物も「楽」です。
また焼き網を利用しないグリルも出ています。これなら「受け皿」と「焼き網」で2つあった洗い物を1つに減らすことができ、「楽」です。ノーリツの「マルチグリル」タイプは焼き網がなく、かわりに「プレートパン」がついてきます。その他のノーリツ、リンナイ、パロマでもオプション調理器具を使うことで、焼き網なしで使うことも可能です。
掃除しやすさも大切ですが、掃除をする必要がない方がもっとうれしいですよね。もちろんまったく汚れないというわけではありませんが、最新のコンロは「汚れない工夫」もされています。例えば、リンナイの「ココット」やノーリツの「キャセロール」、パロマの「ラ・クック」、こういった蓋付きの調理器具を使えば油の飛び散りを抑えることができます。
またグリル使用時に発生する煙にも油分が含まれており、キッチンの壁に付着してベタつきやニオイの原因になります。リンナイ・ノーリツの上位機種には「スモークオフ(リンナイ)」「スモークカット(ノーリツ)」という機能が搭載されており煙やニオイを8~9割程度軽減※することができます。
さらにノーリツのピアットワイドグリルには「グリルクリーンモード」が搭載されており、グリルの使用後の庫内に残ったベタつき・ニオイを軽減できます。
※メーカー(リンナイ・ノーリツ)実施の試験による値
※メーカー(パロマ)実施の試験による値
主な仕様を一気に比較するなら
多種多様なビルトインコンロの仕様・機能を各メーカーシリーズごとの一覧表で、一気に確認することができます。
希望の機能・機種がはっきりしているなら
希望のビルトインコンロが決まっている場合は、是非無料お見積りをご依頼ください。
工事費用を含めたビルトインコンロの交換にかかる費用の総額をご案内いたします。
また、「希望の仕様・機能は決まっているけど機種が決められない!」という方も、是非無料お見積りからご相談ください。お客様のご希望に沿った最適な機種をご提案いたします。